こっちを向いて、恋をして。



「……」

それは、部活が終わって、教室へと戻って。

足を一歩踏み入れたところで、思わず体をピタッと止める。


窓際から2番目の、俺の隣の席。

そこに座っていたのは、大西で。


でも、いつもと様子が違う。

両腕を抱えるようにして、机に突っ伏したまま、動かない。


……寝てる?

出来るだけ音を立てないように近付くと、思った通り。

大西は小さく寝息を立てていて。
その傍には、赤いチェックの紙袋。

微かに甘い香りのする、それが何なのかは容易に分かってしまって。

誰を待っていたのかも、分かってしまって。

声をかけて起こそうか、少し迷った。

……でも。


起こしてしまったとして、何を話せばいいのか分からない。

圭太のことをバラしてから、大西は質問責めに遭い、すごく困らせてしまったし。

俺の顔なんか、とうとう本気で見たくなくなってるかもしれない。


それに……。