こっちを向いて、恋をして。


何の音か、説明されなくても分かる。

それは、ケータイのバイブレーション。


穏やかだったはずの空気は、一瞬にしてピンと張り詰めて。

下がっていた頭が、一斉に起き上がる。


「……誰だ」

黒板を叩くようにして書いていた先生の手が、ピタッと止まって。

ゆっくりと振り返った低い声が、更に空気を凍らせる。


“ヤバイ”って、みんなが思った。

ケータイを持つことは禁止されてはいないけど、授業中の使用、妨げとなるようなことをするのは、もちろん禁止。

メールを返しているのが見付かって、こっぴどく叱られた後、解約させられたとかっていう話も、先輩に聞いたことがある。

つまり、どうなるかは分からない。


そんな絶体絶命的な状況に、立たされている馬鹿なクラスメートは……

まさかの、俺の隣。