こっちを向いて、恋をして。



それから、大西が俺に話しかけてくることは、当然なくて。

あんなことを言って、あんな顔をさせてしまったからには、俺も話しかけることなんて出来なくて。

そのまま、何の言葉も交わさないまま、1日が過ぎた。


そして、翌日。

『おはよう』の挨拶すらなく、始まった1日。

ちょっとした事件が起きたのは、昼休憩後の5限目の授業中。


科目は世界史。

いつもよりずっと静かで、みんなが真面目に見えるのは、食後の睡魔と、先生のせい。

世界史を受け持つ先生は、生徒指導の担当でもあって、少しでも問題行動を起こせば、厄介なことになる。

2年生にもなれば、それはみんな承知で。普段ケータイをいじっているような生徒も、この時ばかりは大人しくしていた。


しんと静まった教室。

響くのは教科書を読み上げる先生の声と、チョークが黒板にぶつかる音だけ……だった、そこに。



ヴー、ヴー、ヴー。


突然、響き渡った別の音。