こっちを向いて、恋をして。


「え?」

「さっき、知らなかったみたいだから」

顎でクイッと、プリントを配り続けるクラスメートを指す。

すると「あぁ……」と、大西は少し返事を濁らせて。

「別にそんな、ベラベラ言うことでもないじゃん」

言いながら目を俺から逸らし、逃げるみたいにケータイを取り出す。


自分でも何で、こんなこと聞いてんだろうって思う。

大西が誰まで何を言っていようが、大西の勝手なのに。


頭ではそう、冷静に考えられてる。

だけど、大西の気まずそうな顔、少し赤らんだその表情に、感情は苛立って。


……圭太のこと、考えてんの?

そう思ったら、


「付き合ってもない俺のことは、散々周りに言ってたのに?」

「っ……!」

再びこっちを向いた大西。

目を見開いたその顔は、酷く動揺していて。


こんな顔するって分かってた。

分かっててわざと言った。