こっちを向いて、恋をして。


「あっ、ごめっ」

咄嗟に床へと手を伸ばそうとする大西。
俺も同じく、拾おうと手を伸ばして。

次の瞬間。


ゴンッ。


「っ……」

頭から電気が流れるように走った痛み。

結構いい音がした。
それだけ痛い。


「ごめんー……」

ふたりしてぶつけた頭を押さえながら、先に謝ったのは大西の方。

ごめん、ごめんって、さっきから謝り過ぎ。

思いながら俺は無言で、未だ落ちたままのプリントへと手を伸ばす。

僅か数分のこの間に、一体何度『ごめん』って言葉を聞かせるのだろう。

……でも。


本当は分かってる。

その言葉を言わなきゃならないのは……自分の方だってこと。


「……大西」

プリントを拾い上げ、小さく声をかけると、大西は頭をさする手をピタッと止める。

そして、躊躇いがちに、少し恐れたように、こっちを見る目。

伝えようとした言葉は、『ごめん』だったはずなのに――。


「圭太のこと、友達には言ってないわけ?」