こっちを向いて、恋をして。


音を立て散らばったのは、この後の授業の英語の教材。

「あー、もう何やってんの!」

俺が思ったのと同じことを、口にしたのは声をかけた女子で。

それらを拾い上げると、

「はいっ」

大西の机の上にポンっと置いて、

「ひかりってば動揺しすぎ!」

と、苦笑した。


動揺……ってことは、俺とのこと知ってんのかな。

なんて、考えたのもつかの間。


「まぁ、無理もないか。大好きな石丸くんが隣の席だもんねぇー」

語尾にはハートマーク。

少しふざけて、からかうように言われた言葉に、

「ちょっ!」

ガタン!と、さっきよりも大きな音を立て、大西が立ち上がる……けど。

「はいはい、大丈夫。邪魔しないから」

クラスメートの女子は、なだめるように言うと、

「はい、これ。この間の現国のプリントね。ついでに石丸くんのも」

配っていたプリントを手渡し、要件を済ませると、早々に離れていった。