こっちを向いて、恋をして。


あたしが朝日の存在を知ったのは、ついこの前の3月。

1年生最後の日……だった。


大掃除があって、ワックスがけがされて、ピカピカになった廊下。

滑りやすくなっていることを、すっかり忘れていたあたしは、課題の提出のために走った。


そして……思いっきり転けてしまった。


今でも思い出すと、鳥肌が立つ。

びっくりするくらい冷たい床の温度と、両手のジンとした痛み。

それから、クスッと笑った周りの目。


恥ずかしさで、顔を真っ赤に染めるあたしの前に、スッと大きな手が差し出された。

顔を上げると、目の前に立っていたのは、無愛想っぽいけど、そこそこにカッコいい男子。

躊躇いながらも、ゆっくりと手を伸ばす。

すると、大きな手はあたしの手を掴んで、グイッと引っ張り、立たせてくれた。

とても温かい手。

「ありがとう……」

と、お礼を言った。

そこまでは良かった。
恋に落ちてしまいそうな、シチュエーションだった。

だけど、