こっちを向いて、恋をして。



「びっくりしなかった? ひかりと中村くんのこと」

俺の前の席に岩崎が腰掛けて。

振られた話題に「あぁ……」と、小さく返す。


放課後の教室に、岩崎とふたりきり。

まさか、こんな状況になるとは思ってなくて、話し相手を承諾こそしたものの、ちょっとだけ戸惑ってる。

しかも、


「ね。いきなりだったから、あたしもびっくりしちゃった。でも……意外と上手くいってるっぽいよ」

岩崎の口から出てくるのは、大西の話。

「へー……」

何て言うのが正解なのか分からなくて、相づちしか打てない。


「ごめん。あんまり聞きたくない話だった?」

「いや、別に……」

聞きたいとか、聞きたくないとか、考える前に出た返事。

なのに岩崎は、謝るみたいに微笑んで、窓の外に目を向けた。


夕日に照らされる横顔。

光の加減なのか、憂いを帯びた表情に、何考えてんのかな……って、考える。