「あ、ううん……」
返事しながら、岩崎の後ろを確認する……けど、誰もいない。
「ひかりなら、中村くんのところだよ」
「あっ、いや……」
指摘されて、慌てて目を逸らした。
だって今の、まるで俺が大西が来ることを期待したみたいじゃん。
「……で、どうかした?」
改めて目の前の岩崎に問いかける。すると、
「ほら、あたしお邪魔虫だから」
と、控えめな笑顔で言った。
……お邪魔虫。
岩崎からそんな言葉を聞くと、ふたりが本当に付き合ってんだと、実感せずにはいられない。
そっか。
大西と圭太は、今一緒にいるんだ。
そして、たぶん今日は……。
なんて、何考えてんだ俺。
頭に浮かんだことを消してしまいたくて、岩崎に目を向けると、
「帰るところ……だったよね? もし良かったら、少しだけ話し相手になってもらいたかったんだけど……」
と、申し訳なさそうに言われて。
持ち上げた鞄を、机の上に置き直した。



