こっちを向いて、恋をして。



その晩、初めて大西の夢を見た。

はっきりとは覚えていないけど、最初は全く別の夢を見ていて。
それが、どういう繋がり方をしたのか、放課後の教室に切り替わって。

崩れていない綺麗なチーズタルトを持った大西が、目の前に立っていた。


薄っすら頬を赤く染め、にこにこと笑顔を向ける大西。

あれ? 泣いてなかったっけ……?

頭の片隅で思いながらも、深い疑問は抱かず、すんなりとその状況を受け入れている自分。


『今日はチーズタルト!』

そう言って、満面の笑みで、大西がタルトを差し出して。

『ふーん……』

俺は特に興味のないような返事をしながら、それに手を伸ばす……けど、途中で手を止めた。

嫌な予感っていうか、感じたのは胸騒ぎ。


何でだよ……何で。
こんなに近くにいるのに。

何だか大西が――。


キョトンとした顔をして、俺を見る。


何をしようとしたのか、自分でも分からないけど……

一度止めた手を、再び動かした。


その指先が向かった先は……。