こっちを向いて、恋をして。


岩崎はたぶん、俺の気持ちになんか、これっぽちも気付いていない。

それなのに謝ってきたのは、好きな人がいるって、俺が言ったからで。

今まで大西とくっ付けようとしたことに対して、謝ったんだと思う。


好きな奴に、他の相手と上手くいくことを願われる気持ち。

俺は、痛いくらいに知ってる。

それなのに……。


片手には、崩れたチーズタルト。

脳裏に浮かぶのは、これを押し当て落とした時の、大西の悔しそうで辛そうな顔。

いつも、ヘラヘラ笑ってるか、頬を膨らませて怒っているか、どっちか。

そんなあいつがあんな顔するから……あんな顔をさせたのが自分で、それほど残酷なことを言ったって分かっているから、ムシャクシャしてる。


……でも、ああ言う以外なかった。

もっと別の言い方があったのかもしれないって、後悔しないわけじゃないけど、

圭太のことをあいつに勧めるしか、俺にはなかった。


だって、まさか圭太が……。