こっちを向いて、恋をして。


響いた、岩崎の静かな声。

向けられた眼差しは真っ直ぐ、真剣で。


胸の奥がドクンと跳ねた。



「……いるよ」


目の前に。

あんたのことが、好きだ。


そう素直に言ってしまえば、少しは楽になれるんだろうか。


「そう、なんだ……」

俺の返事に、少し驚いた顔をする岩崎。


何でそんなに鈍いんだよ。
わざとなんじゃないかと、時々思う。

腕を掴んで引き寄せて、「あんたのことだよ」って、言ってやろうか。


何が引っかかっているのか、自分でもよく分からないけど、たまらなくムシャクシャして。

立ち上がろうとした時だった。


「……分かった。ごめんね」


教室に響いた岩崎の声。

困ったような、申し訳なさそうな笑顔を浮かべ言うと、教室を出て行った。


パタパタと遠ざかっていく足音。

「……」

また、ひとりになる。


ごめんと謝った岩崎の声が、残された俺の頭の中でこだまして。

分かってしまった。
ムシャクシャする理由。