手を離したタルトは、ボタッと重たい音を立てて、落下して。

グシャッと崩れてしまった。


まるで……あたしの気持ちみたい。


でも、ごめん。
もう拾い上げる気にならない 。

もう、無理だ。


「わかったよ……」


あたしの体の奥で、プツンと糸の切れる音がした。


「あたし、中村くんと付き合う」


それが朝日の望みなら……朝日のことはもう諦める。

だけど、最後にひとつ言わせて。


「今までさ、もしかしたらふざけてるように思ってたのかもしれないけど……あたし、本気で朝日のことが好きだったよ?」


ちゃんと笑顔作れたかな……。

「バイバイ」と、続けざまに声を上げて、あたしは教室を飛び出した。


さすがに朝日も、焦った顔をしていたと思う。

呼び止めようとする声が、聞こえたような気がした。


でも、あたしはバタバタと、階段を一気に駆け下りる。

向かったその場所は……。