「中村くんが良い人なのは、分かるけど……」
差し出したチーズタルト。
目を少し泳がせた後、それを見つめると、じわじわと視界が滲んで。
「これ、は……朝日に食べて欲しくて、作ったんだよ……?」
ねぇ、知ってるでしょ?
あたしの気持ち。
「あたしは朝日のことが好きなんだよ……?」
キスされたとき嫌だったのは、優衣を重ねられたから。
たった一瞬だけど、あのとき目を合わせた朝日は、すごく切なそうで……それでいて愛おしそうな目をした。
目の前にいるのはあたしなのに、優衣を見ないでって、思った。
朝日のことが本当に好きだから、嫌だった。
そんな気持ち、分かってくれたんだと思った。
分かってくれたから……昨日『ごめん』って、謝ってきてくれたと思ってた。
……なのに。
「何で朝日がそんなこと言うのっ!?」
ポタッと零れ落ちた涙。それと同時。
あたしはチーズタルトを思いっきり、朝日の胸に押し付けた。



