こっちを向いて、恋をして。



「あっさ、ひ……」

チーズタルトを片手に、意気揚々と教室の中を覗き込むと、そこには誰もいなかった。

「なんだ。まだか……」

がっくりと肩を落として、教室の中へと足を進める。


まだ部活してんのかな?

近付いた窓からグラウンドを見てみると、そこにあったのは土を整える野球部の姿で。

サッカー部の姿は、もう既にない。


あれ……。
もしかして、今日も帰った……とか?

いやいや、今日はちゃんと約束したもん!

ふと過った嫌な予感。
ぶんぶんと頭を左右に振って、考えてしまったことを消し去る。

きっともうすぐ戻ってくる。

思い直したあたしは、目の前の机の上にチーズタルトを置いた。


窓際の一番後ろ。

それは……朝日の席。


誰もいないのを良いことに、椅子にそっと手を掛ける。

まぁ、誰かいたところで、みんなあたしの気持ちを知っているから、さほど問題にはならないけど。

ギーッと響いた、椅子を引く音。

そこにぺたんと、腰を降ろしてみる。