こっちを向いて、恋をして。


メールだかLINEだか分からないけど、優衣のケータイの先にいるのは、きっと直大さんで。

先に教室に上がって欲しい理由も、くるまれたタルトも、たぶん……。


始めは、朝日に近付きたいというそれだけで、優衣を追いかけ入部した調理部。

今もまだ、お菓子作りとか料理って苦手だけど……でも。


優衣がどうしてお菓子作りを好きなのか、ちょっとだけ分かった気がする。

それは……。


「気になる人にあげてみれば分かるよ」

どうして頑張れるのかという返事。

あたしは笑って、友達に答えた。





どんなに相手にされなくても、本当に待っている人が、例え優衣でも。

お菓子を食べてくれたその瞬間、朝日の顔が……少しほころぶ。


それは、あたしが唯一朝日を幸せにしてあげられる魔法。


だから、あたしは今日も手作りお菓子を持っていく。

頑張れるのは、朝日のほころんだ顔が見たいから……。