こっちを向いて、恋をして。




「……ふ、はぁー……」

朝日が出て行き、ひとりきりになった教室。

足音が聞こえなくなると、あたしは頭を抱え込むように、その場にしゃがみ込んだ。


朝日とまた話せた。

それだけじゃなくて、『ごめん』って。


嬉しくて夢みたいで、じわじわと涙が込み上げる。


緊張していたせいか、ぎゅっとケータイを握りしめてしまっていて、手汗がハンパない。

でもそのまま、微かに震える指で電話をかけた。

相手は優衣。


『もしもし? ケータイ返して貰えたの?』

「うん、何とか。でね、朝日と仲直り出来たかも……」

『えっ!?』


明日からまた、朝日に会えるのが、学校が、楽しみになる。

嬉しくて嬉しくて、今すぐ誰かに伝えたかった。



舞い上がったあたしは、優衣に話すことに必死で、

「……何だよそれ」

電話を聞いていた人影なんて、気付かなかった。