こっちを向いて、恋をして。


恐る恐る顔を上げてみると、予感は見事に的中していた。

にんまりと笑顔を向けるのは、おでこからツルッと禿げ上がった数学の先生。

通称ハゲ林。


「大西」

「……はい」

「お前、いつの間にか授業聞かなくていいほど、数学が得意になったんだな」

「え、いや……」

なかなか崩れない笑顔が怖い。

ハゲ林には、何度もお世話になっている。……赤点の補習で。

今にも落っこちそうな雷に、ヒヤヒヤしながらそーっと、ケータイを机の奥に隠そうとした。

だけど、

「没収!」

「あぁっ!?」

ケータイは呆気なく取り上げられて。

多分その瞬間。先生の指が触れたのか、パッと画面が点いてしまった。

そして、


「大西……お前、男が出来たのか」


予想外とばかりに、目を丸くさせ言った先生。

その発言に、教室の中はドッと湧いた。