「……」
返事出来ず、そのまま立ち尽くしていると、「とりあえず座りなよ」と苦笑されて。
「あっ、うん……」
こっちを見る周りの視線に気付いたあたしは、顔を赤くしながら椅子の上にお尻を落とした。
「まぁ無理にとは言わないけど、その気になったら言ってよ。俺はいつでも付き合うから」
「……はぁ」
“ありがとう”と言うのが正しいのか分からなくて、微妙な返事になる。
だって。
「中村くん彼女いないの?……っていうか、何でわざわざそんなことしてくれようとすんの?」
“他人のものほど欲しくなる理論”は理解出来るとしても、どうして協力してくれようとするのかは分からない。
だって、お互いを知ってから、まだ数日で。そんな仲良くもないのに。
……なんて、散々話を聞かせたあたしが言えることではないけど。
とにかく、不思議だった。
理由が分からないから、朝日を試すということを、ちゃんと考える気にもならなくて。