「興味ないとか思ってても、他人のものになった途端、急に気になったりするもんだよ」

「それが無条件で自分のものだったなら、尚更ね」と、中村くん。

にっこりと笑顔で、自身あり気に言った彼の言葉に口ごもる。

何となく、言っている意味は分かる気がする。


購入するべきか、悩んでいたラスイチのスカート。

家からすぐのお店だし、いつでも買えるからもう少し考えてみよう……と、とりあえずその場は諦めて。

次にそのお店に行ったら、誰かに購入されて、そのスカートはなくなっていて。

あぁ、やっぱり買っておけば良かった……と後悔する、あの気持ちのことを言っているんでしょ?

ないと思ったら、悩んでいたのにどんどん欲しくなってしまうあの気持ち。

すごくすごくよく分かるけど……。


果たして朝日はあたしを失って、そんな気持ちになってくれるだろうか?

そのそもあたしは、悩まれるような立ち位置にすらいない……と、思うのに。