こっちを向いて、恋をして。


自分でも、少しどうかと思う。

だって、中村くんは朝日の友達で。
こんなことをあたしが話すのは、ちょっとマズいんじゃないかと思った。

でも、中村くんは意外にも、真剣な眼差しで話を聞いてくれるから……。


「そういう、わけでして……」

「へぇー……」

『そんなことがあったんだ』と、驚いた顔をする中村くん。

話したのは自分。だけど、恥ずかしくて、耳の後ろがむず痒い。

そんなあたしを放っておいて、「んー……」と、腕組みして、中村くんは何か考え始めて。

「あ、別に話聞いて貰いたかっただけだから!」

あたしは慌てて言って、オレンジジュースを口にする。

……薄い。
氷が溶けて、結構薄まってしまってる。

ストローを口から離し、半ば無理矢理ぐるぐると混ぜて、また飲もうとした……時だった。


「大西さん、俺と付き合ってみない?」

「っ!? ごほ、ごほっ」

喉へと向かったオレンジジュースが逆流。

いた、痛いっ。
鼻と目の方へ、ツンと来る。