こっちを向いて、恋をして。


「ごちそうさま!」

「えっ? はやっ!」

中村くんはいつの間にか、ブラウニー3つをペロッと食べてしまっていた。


「すっげー美味かった! このチョコケーキ!」

「ブラウニーって言うんだよ」

「へー」

相づちを打ちながら、ラップの中に残った小さなカケラまで、口の中へと運ぶ中村くん。


この前は人のことを面白がって、からかってるだけのように感じ、まんまり関わりたくない人だと思っていたけど……

どうしてなのか、少し印象が変わって。


他には誰もいない、廊下の真ん中。


「朝日、さ……。あたしのこと、何にも言ってなかった……?」


気付けば、小さな声で問いかけていた。

本当に深く考えてのことじゃなく、ブラウニーをあげた代わりに聞き出そうとしたわけでもなく、

言葉が自然と溢れた感じ。


中村くんは「いや……」と、小さく返事した後、

「朝日と何かあったの?」

昨日の朝とは違う、真面目な顔で聞いてきた。