こっちを向いて、恋をして。


「えっ……」

現れた人の顔を見たあたしは、たぶんあからさまに顔を引きつらせた。

何故なら、呼吸を上がらせるその人は、朝日のあの友達。

名前は確か……中村くん、だったっけ。


近付いて来ないで、話しかけないでって思ったけど、この状況でそれは無理な願いだった。


「大西さんじゃん! 何してんの?」

中村くんは案の定、教室の中へと入って来て。

「あ、朝日待ってんだ?」

見事にその通り。
いや、それ意外の理由がないことを、この人は知っているはずだけど。


「別に関係な……」

「あー、でも残念! 朝日ならもう帰ったけど」

「……え?」

関係ないでしょ!って言おうとしたのに、中村くんの言葉が関係ありに変える。

もう帰った……?


「帰った……の?」

「うん」

「……」

何も不思議なことなんてなさそうに、あっさりと頷く中村くん。

だけどあたしは、彼の前だということも忘れて、呆然とする。