こっちを向いて、恋をして。


それでも、ここで行かなかったら本当にダメになっちゃう気がして。

あたしは一度深呼吸して、足を前へと動かした。


自分が悪いことをしたとは思ってないけど、強く引っ叩いちゃったこと、昨日無視してしまったことは、ブラウニーを渡して謝ろう。

よし!と、気合いを入れてからそっと、開いたドアから中を覗いた。


日中の騒がしさを失って、とても静かな薄暗い教室。

そこには……

「あ、れ……」

誰の姿もなかった。


朝日の机の上には、荷物もない。

まだ戻って来てない……とか?

教室の中へと入って、立ち尽くす。


そうしていると、


キュッ、キュッ、キュッ。

たぶん走っている軽快な足音が、聞こえてきた。


あっ、朝日!?

思ったあたしは振り返る。

だけど、近付いてきた足音は、あたしのいる教室を横切って。

あ、違った……。

と、肩を落としたら、


「あれっ?」


その人は引き返して、ヒョコッと顔を出した。