こっちを向いて、恋をして。



……まさかひとり、になるなんて。

教室まであと数歩のところで、ピタッと足を止める。

そんなあたしの腕の中には、ラップで包んだブラウニー。


『今日あたしね、このあとすぐ帰らなくちゃならなくて……』

そう言って、眉をハの字にさせた優衣。

聞くところによると、今日はお母さんの誕生日らしく、ケーキを焼いてあげたいということで、

先に帰ってしまった。


『それ、持って行くんだよね……?ひとりで大丈夫?』

と、優衣は最後まで心配してくれたけど。

早く帰りたい理由が理由なだけに、引き止められなくて。

『大丈夫大丈夫!』

笑いながら明るく返事してしまったけど……全然、大丈夫じゃない。


朝日のことでは優衣のこと、邪魔みたいに思ってしまうこともあるのに、

遊園地に誘ったときもだし、時々都合良く必要としてしまう。


ホントずるいな……って、思ってしまうけど。

バクバクとうるさい心臓。

ひとりじゃ上手く、朝日と会話出来る気がしない。