こっちを向いて、恋をして。


ガシャガシャと、手元から音を立てる。

……ん、待てよ?
朝日は本当に謝ろうとしてくれたのかな?

ただ単に、キスしたくらいで騒いじゃってウザいから、今後近寄んないでって、そういう話をしに来たんじゃ……。

で、あたしがああして無視したから、それならそれで好都合だと思われてしまったんじゃ……。

有り得る、それ。
そう考えれば、あれから朝日が近付いて来ないのも、納得がいく。

でも……何かそれって、本当にヤバくない?


「ひかり、ひかりストップ!」

「え?」

ひとり物思いにふけっていると、突然割って耳に入った優衣の声。

「さすがにそんなに掻き混ぜちゃ……」

苦笑を浮かべる、その目線の先は……あたしの手元。

「えっ、あっ!ごめんっ!」

湯煎にかけたチョコレート。

ただ、溶かすだけ……だったはずなのに、あたしは生クリームや卵白のように、力一杯ゴムベラでぐるぐる掻き混ぜてしまっていた。