こっちを向いて、恋をして。


その名前のすぐ下、四角く区切られた枠の中。
上下二段に別れた下の段には、少し黒ずんだスニーカー。

……もう来てる。

そう思った側から予鈴の音。

玄関には朝だというのに、人はほとんど居なくて。それは、今の時刻が遅刻寸前ってほど、遅い時間だからで。

来てないことの方が……おかしいんだけど。


あたしは、ちょっとだけ苦い顔をして。自分の上履きを手に取るか、ちょっとだけ迷って。

『石丸』の3つ下にある、『大西』の下駄箱。

仕方なく、手を伸ばした。


だって早くしなきゃ、あの人に追いつかれてしまうし。

ここまで来たら、今更サボることなんて出来ないし。

それに、それに……。


ブツブツ。
誰に言うわけでもない言い訳を、頭の中でぐるぐる考えながら、階段を登った。

そして、あっという間に教室の前。


扉は開いていた。