……決定的瞬間は、ゴンドラの角度により、見えなくなった。

でも、彼氏いない歴イコール年齢のあたしでも分かる。


ふたりはキスをした。


確かこれで3回目……だっけ。
優衣の念願叶ったり、だ。

思い悩んでいた親友の姿を思い出して。
きっと今、すごく幸せなんだろうな……と、思う。

だけど素直に喜んであげられないのは、


あたしの目の前にいる人が、優衣のことを好きだから……。



何事もなかったみたいに、すぐに顔を戻した朝日。

あたしはビクッと肩を跳ね上がらせるけど、目線は少し下に置かれ、目は合わない。

見ていなかった……わけがなくて。

嫌な沈黙が流れる。


好きな人が他の人とキスをした。

どれだけ相手の幸せを願っていたとしても、その現場を目の当たりにして、平気な人間がいるはずない。


朝日のことが心配だから?
それとも、運悪くキスシーンを見せてしまった罪悪感?

どちらか分からないけど、押し潰されそうな胸の痛みに、

「朝日……」

名前を呼んだ、次の瞬間だった。