こっちを向いて、恋をして。


「黙ってるとか、らしくないじゃん。てゆーか、気持ちわりぃ」

「……だから」

一言余計なんだって。
優衣にはそんなこと言わないくせに。

言いかけて、あたしは口を閉じた。
まぁいいか……って、思って。

余計な言葉はいつものことで。それよりも……声をかけてくれたことの方が、嬉しい。

あたしの様子を気にかけてくれたことが、何より嬉しい。


「何?」と問いかける朝日に、あたしはふるふると首を横に振る。

たぶん自然と顔はニヤついちゃってて、

「何だよ……変な奴」

と、朝日はまた顔を逸らした。


今ならまだ、大丈夫な気がする。
今なら……。


「ごめ……ん」

狭い空間に響いた、震える声。

一度離れた朝日の視線が、再びあたしに戻る。

「えっと……今日、付き合わせてしまって。本当は嫌だった……でしょ?」

ドクンドクンと、うるさい鼓動。
対する朝日は少し、驚いた顔をした。

そして、

「それで元気なかったわけ?」

と、全てを見透かした目で言った。