こっちを向いて、恋をして。


ゆっくりと動き出した、観覧車のゴンドラ。
1周するのにかかる時間は、15分くらい……かな。

それまで、朝日とふたりっきり。

舞い上がってしまいそうな状況で舞い上がれないのは、ひとつ前のゴンドラに見える人影が原因。

朝日さんと向かい合って座る、優衣の後ろ姿。


わざとなのか、たまたまなのか、どちらか分からないけど、ふたりに背を向ける位置に朝日は座っていて。

その顔はぼんやりと、窓の外を見つめていて。

何だかんだ言っても、やっぱりふたりの幸せそうな姿は見たくないよね……と思うと、胸の奥がチクンと痛んだ。


だって、嫌だったもん。

例え少しの時間でも、朝日と優衣がふたりっきりになっただけで、すごく嫌だった。

それなのに、あたしはわざと朝日に直大さんを……。


「どうした?」

「えっ」

声をかけられて、パッと前を見ると、さっきまで外を向いていた朝日の顔が、あたしの方を向いていた。