こっちを向いて、恋をして。


直大さんは少し、驚いた顔をする。
当然、あたしも。

だけど、

「じゃあ、お言葉に甘えよっか」

そう言って、とても自然に直大さんの腕に触れる優衣。

直大さんも思い出したように、「そうだな」と、微笑んで。


「すみません。2名ずつで」

「はい、かしこまりました。では、こちらに2列で並んで下さいね」

誘導されるままに並ぶ。
朝日の……隣に。


思いがけない展開になった。

いや、一緒に乗れたらいいのになぁと、心の底ではずっと思っていたけど。
そして、それは実現するかもしれないと、密かに期待なんかもしていたけど。

でも……。


「いいの?」

「何が」

「本当は……高所恐怖症とかだったりするんじゃないの?」

“優衣と一緒じゃなくて”とか、“あたしと一緒に乗って”とか、本当に聞きたいことは口に出せなかった。

その代わりに出てきた、からかっているとも取れる言葉に、朝日は無言で顔を逸らす。