「ふがっ!」
突然止められた呼吸。
グミは口から、ポロッと落ちて。
「……だから。お前の脳内は一体どうなってんだ」
覚めた目で言う彼は、あたしの鼻を摘まんでいた。
「っ、もうっ!」
慌てて体を離して、すぐに怒鳴る。
何度言ったら分かんのっ!?
「好きなの!朝日のことが!」
こだまして返ってきそうなくらい響いた、あたしの告白。
だけど目の前の彼は、
「あー……はいはい。ごめん」
適当にあしらうみたいな返事をして、袋の中のグミを、勝手に自分の口へと運ぶ。
「ん、結構美味いじゃん」
「だから美味しいって言ったでしょ?……って、人の話を聞け!」
「いたたっ!耳引っ張んなって!」
せっかくふたりきりなのに、全然思ったようにならない。
甘い時間は訪れない。
結局いつもと同じ、ケンカみたいなじゃれあいになってしまっていると……、
「あぁ、やっぱり……」
クスクスと苦笑しながら、教室の中に入ってきたのは、優衣。



