こっちを向いて、恋をして。


優衣に嘘をついているような気配はない。……っていうか、こんな嘘をつかなきゃならない理由も見当たらない。


じゃあ、本当にただ話しただけ?

優衣は朝日の気持ちに、まだ何も気付いていない……?


そうと分かったら、自分でも驚くほどに単純。

重苦しかった心の中が、スウッと一瞬にして軽くなる。


「……うん、あたり。ちょっとだけ気にしちゃってた」

ホッとしたあたしが、苦笑を浮かべてそれっぽい返事をすると、優衣はもう一度、「ごめんね」と謝った。


嘘、ではない。
優衣とふたりっきりの時間を過ごして、嬉しそうにしている朝日にイライラしていたから。

でも何となく、嘘をついてしまったような、罪悪感。


あたしのことは、こんな風にとてもよく気付いてくれるのに、どうして朝日の気持ちには気付かないんだろう……。

なんて、あたしが考えても仕方がないことで。


「ね、優衣のことって、どんな話したの?」

再び歩きはじめたあたし達。

この際だから聞いてしまえと、問いかけた。