こっちを向いて、恋をして。





あたしと直大さんが戻ると、朝日と優衣は笑って、何か話をしていた。


「お待たせ。どう?調子は」

「ありがとう。あたしは大丈夫……」

直大さんは優衣に、あたしは朝日に、買ってきたばかりの冷たいジュースを差し出す。

朝日の顔色も大分良くなったみたい。


「サンキュ」

心なしか、少し嬉しそうに受け取る朝日に、

「お礼なら、直大さんに言って」

あたしが言うと、

「ありがとうございます」

朝日は直大さんに、ペコっと頭を下げた。


お礼を言われた直大さんは、何ら変わらない笑顔を浮かべ、首を横に振る。

「石丸くんも、少し良くなったみたいで良かった」

「ホントすみません……」


申し訳なさそうに頭を下げる朝日は、全く気付いてなんかいないんだろうけど、優衣に対する朝日の気持ちを、直大さんは知ってる。

それなのに、優しく出来る理由が分からない。

直大さんの笑顔の裏に、何か黒い感情が渦巻いている様子もない。