こっちを向いて、恋をして。


早く上手くいって欲しい……って、言われても。

何ていうか、言葉に困る。


直大さんは何も知らないんだから、『頑張ってるんですけどねー』って、冗談みたく笑って、軽く流せば良かったのかもしれない。

だけど、この時のあたしはどうしてか、何も言えなくて。

黙り込んでしまっていると、列が進んで。開いた空間を埋めようと、足を動かそうとした……その時だった。


「ごめんね。あいつ、鈍いよね」


……え。

聞こえた言葉に、耳を疑った。


にぶ……い?
え、それ……って。まさか。


「なっ、直大さんっ……!」

先に進んだ直大さんを、あたしは慌てて追いかける。

すると、直大さんは……振り返って。


少し困ったような顔で、微笑んだ。




はっきり、言われたわけじゃない。

だけどその表情で……充分、伝わってしまった。


直大さんは朝日の気持ちに、気付いてしまっている。