膨らませた頬を元に戻して、
「今日はね、グミ作ったんだ!」
あたしは表情を、パッと笑顔に変えて言う。……なのに、
「それ、美味いの?」
「美味しいに決まってんじゃん!」
疑うような目の彼。
相変わらず失礼な人だと思っていると、ふと良いことをひらめいた。
「じゃあ美味しいグミが、もっと美味しくなるようにしてあげる」
言いながらあたしは、グミの入った袋の口を開くと、取り出したのは、紫色のハート形。
「……?」
不思議そうな顔をして、あたしの行動を見つめる彼に、あたしはふふんと笑って、
「口移しで食べさせてあげるっ!」
満面の笑みで告げると、軽くグミを咥えて顔を近付けた。
放課後、ふたりきりの教室。
近付く唇の距離に、胸の高鳴りは最高潮。
あれ?嫌がられない……?
もしかして、このまま本当に……と、期待した時だった。



