こっちを向いて、恋をして。



それから、挨拶もそこそこに、あたし達は直大さんの車に乗り込んだ。

助手席には優衣。
あたしと朝日は後部座席。


「暑くない? 大丈夫?」

そう言って、直大さんはエアコンを調節してくれて。

「大丈夫です!ちょうどいいです」

と、答えたものの、本当は少しだけ暑かった。

でもそれは、決してエアコンが効いていないというわけじゃなくて……。


朝日との距離が、想像以上に近いから。


知らなかった。
車の中って広いようで、意外と狭い。

少し体を傾ければ、触れてしまいそうな距離にドキドキする……のは、どうやらあたしだけみたい。

朝日は特に距離を広げて座ることもなく、暑そうな顔をすることもなく、車内の会話に合わせて頷いたり、質問に答えたりしていた。


その余裕は、一体どこから来るんだろう。


直大さんからの質問は、大体が学校のことについてで、別に答えに困る内容じゃない。

だけど、何度も言うけど、直大さんは優衣の彼氏。

あたしとの距離にドキドキすることはないにしろ、普通もうちょっと態度に出てしまうものじゃないんだろうか……。