こっちを向いて、恋をして。


直大さんが優衣の彼氏であることは、何も言わずとも分かっているはずで。

どんな顔をして返事するのか、とても気になる。


最近の朝日は、優衣に対して少しあからさま。

だから、直大さんのことを思いっきり睨んだり、目を合わせようとしないんじゃないかと、怖くなった。


ヒヤヒヤしながらも、隣に立つ朝日に、そっと目を向ける……すると、

「石丸です。よろしくお願いします」

朝日は意外にも、普通。

睨むことも、目を逸らすことも、無理矢理な笑顔を浮かべることもなくて、あくまで“普通”に挨拶した。


あたしはその様子に、少し驚く。

……だって、好きな人の恋人が目の前にいるんだよ?

なのにどうして? 平気なの?
何とも思わないの?


もちろん、苦痛に歪む朝日の顔が、見たかったわけじゃないけど。

手に取るように分かってしまっていた朝日の気持ちが、少しだけ分からなくなった。