高校を中退した後、やれることを探して転々とした。
金髪のヤンキー女を雇ってくれるようなバイト先はなかなか見付からず、かと言ってボランティアに立候補しても「見た目がちょっと……」という理由で立ち入りすらも拒まれていた。

最初のうちは何かに打ち込もうという漠然としたやる気を持っていた私も、そのうちだんだんダレて来て、「どうだって良いじゃん」と思うようになった。

そんなふて腐れたガキを預かってくれたのは、私の住む政令指定都市から電車とバスを乗り継いで2時間も掛かる田舎の老人ホームだった。

「老人の話し相手とかやってらんないし。
一々職員に挨拶するのも面倒なんで、なんかテキトーに力仕事回してもらえませんか?」

バイブを切り忘れたケータイを触りながらそう言った私を、責任者のオジさんは鬱陶しそうに眺めていた。