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「夕やけ小やけの 赤とんぼ
負われて見たのは いつの日か

山の畑の 桑の実を
小篭に摘んだは まぼろしか

十五で姐やは 嫁に行き
お里のたよりも 絶えはてた

夕やけ小やけの 赤とんぼ...」




ある屋敷の一角で壁にもたれかかりながら夕日を見ているとどうしてもこの歌を口ずさんでしまう




ここに来て一年半...


長いようでほんの一瞬だった時



「相変わらずいい歌声だ」



ふと声の方を見ると一人の男性が私を見て笑っていた



「稔麿様..いらしていたんですね。」



「ああ、さっきな。そしたら綺麗な音色が聞こえてきたものだからね、やはり君だったか」




フワっと私の手を取って立ち上がらせてくれる稔麿様