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そびえ立つ巨大な白亜の城。

その前を通り過ぎる人々は、必ずと言っていいほど、一度はその城を仰ぎ見るほどの美しさだ。


人々は束の間、その素晴らしい城の中にある、華やかな王宮を想像し、憧れる。




しかし今、羨望の的であるその城の中のある一室では、全くもって羨ましくない、陰鬱な会議が行われていた。





「まだ姫の行方は分からないのかっ!」



たんっ


今年7歳ーー人でいう70歳になる、小人のリーダーが、苛立たしげに愛らしいその手を机に叩きつけた。

大した音は立たなかったが、地味に彼は痛そうだ。





「残念ながら未だに姫の行方は分からない・・・申し訳ない。」


小人のリーダーに深く深く頭を下げたのは、美しい女ーー魔女のリーダーのアスクだ。

隣には吸血鬼のリーダーであるバースも立っていて、アスク同様に深く頭を下げている。





有能な2人が頭を下げるという事態に、リーダー達はそっとお互いの顔を見る。

そこここから囁き声が交わされ始めた。



「あの2人がいて見つからないだと?」

「使用人達を束ねていた3人も揃っていなくなっているというじゃないか。」

「もしやこれは何かの陰謀では?」

「それとも我らへの反乱・・・?」



憶測が飛び交い、彼らは不安に瞳を揺らす。



(もし、姫君がまた“あのようなこと”を起こしたら・・・)