「凄い腹痛いふりしとけ」


「えっ…だっ大丈夫かな…」


こそこそとドアの前で話す私たち。

たださぼるのではなく仮病で早退しようという魂胆らしい。


「いくぞ…」


「うん…」


「先生ー。頭痛くて保健室来ましたー」


「あら、横になって休む?」


「あ、あの…私…その…お腹痛くてー…」


「あ!このあいだの」


ああ、そう言えば熱で倒れて先生にはお世話になったばっかりなんだった…


「頭痛に腹痛…あのさ、もう少しだけ痛そうに出来ない?」


え…二人の動きがぴたっと止まる。


「ぜーんぶ聞こえてたのよ」


「あははーばれてたか…うっ先生本当頭痛いー」


「おっお腹が…」


「ふふっあなた演技下手ねー」


先生は私だけを見てそう言う。

心なしか笑っているように見えるんだけど…