「カフェオレ、ご馳走さまでした。
甘くてとても美味しかったです。」
「そうですか。それは良かった。
そのーーーここへは何故?
あっ、いや、特に深い意味ではなく
こんな時期に来る人は
滅多にいないもので……。」
ーーーー終わった恋を忘れたくて
なんてこと、
さすがに初対面の人には言えないな……。
「実は夏にここへ
お邪魔した事があるんです。」
その時はひとりじゃなかった。
とも言えなかった。
「……そうでしたか。」
「夏の景色も緑が眩しくて
とても素敵だったけど
冬の雪景色はどんな風になるのかなって
この目で見てみようと……。」
あの人との思い出を
この真っ白な雪が
全て消し去って
くれるんじゃないかって……。
「雪は甘いのご存知ですか?」
「えっ……?」
驚いている私を残して
その男の人はカウンターを抜け出て
外へと行った。
一人静かな店内に残される私。
何の音もなく
窓の外にしんしんと降る雪の音が
聞こえてきそうだった。
男の人は鼻の頭を赤くして
直ぐに戻ってきた。
そしてーーー
「あーんして。」
「えっ!
あ、あーん……で、すか?」
戸惑う私に更にその人は言う。
「ほら、早く。
溶けてしまう。
あーん、してください、ほら。」
言われるがまま
と言うよりも、
意外な強引さに圧倒されてつい、
口をぽかんと開けると同時にーーー
口の中の温度が一気に下がった。
「どうです?
甘いでしょ?」
恐らく私より10は年上であろう
その人は30半ば位だと思う。
けれど、
目の前でニヤニヤする姿は
どう見ても、悪戯好きの
少年の様だった。
甘くてとても美味しかったです。」
「そうですか。それは良かった。
そのーーーここへは何故?
あっ、いや、特に深い意味ではなく
こんな時期に来る人は
滅多にいないもので……。」
ーーーー終わった恋を忘れたくて
なんてこと、
さすがに初対面の人には言えないな……。
「実は夏にここへ
お邪魔した事があるんです。」
その時はひとりじゃなかった。
とも言えなかった。
「……そうでしたか。」
「夏の景色も緑が眩しくて
とても素敵だったけど
冬の雪景色はどんな風になるのかなって
この目で見てみようと……。」
あの人との思い出を
この真っ白な雪が
全て消し去って
くれるんじゃないかって……。
「雪は甘いのご存知ですか?」
「えっ……?」
驚いている私を残して
その男の人はカウンターを抜け出て
外へと行った。
一人静かな店内に残される私。
何の音もなく
窓の外にしんしんと降る雪の音が
聞こえてきそうだった。
男の人は鼻の頭を赤くして
直ぐに戻ってきた。
そしてーーー
「あーんして。」
「えっ!
あ、あーん……で、すか?」
戸惑う私に更にその人は言う。
「ほら、早く。
溶けてしまう。
あーん、してください、ほら。」
言われるがまま
と言うよりも、
意外な強引さに圧倒されてつい、
口をぽかんと開けると同時にーーー
口の中の温度が一気に下がった。
「どうです?
甘いでしょ?」
恐らく私より10は年上であろう
その人は30半ば位だと思う。
けれど、
目の前でニヤニヤする姿は
どう見ても、悪戯好きの
少年の様だった。



