12 love storys

「カウンター周りだけはこまめに
掃除しているんですよ。
ここでいいですよね?」


そう言いながら、その男の人は
私にカウンター席に座るよう
促した。


軽く店内を見回すと、
数席あるテーブル席には
白い布が被せてあった。


ーーー確か前に来た時は
奥の窓側に座ったっけーーー


「何にしましょう。
と、言っても珈琲くらいしか……。」


「はい、是非、珈琲を
お願いします。」


私がそう言うとその人は
ニコリと一つ笑顔を残して
お湯を沸かす準備を始めた。