心配そうなマナカの腕を取り、リビングへ向かい、ソファに隣同士に座った。


じっとオレの顔を見つめるマナカ。


「マナカ、ツアーは中止になった」


「えぇっ?! ホントにっ?!」


大きな瞳が一段と大きくなった。


「うん ホント。 ただ、来週再来週、日本でのファンミーティングすることになったんだ。

来週木曜金曜、再来週月曜火曜木曜。

かなり、ハードんなるから、帰れるかわかんないんだ」


「そうなんだ…。
それは、それで 大変だね…。」


「うん。 マナカも、無理すんなよ。 今日みたいに出かけて荷物んなったときは
バーバラたちに連絡しろよ、あいつらなら、荷物持つくらいへっきだしな。

マサコにも、来週再来週のことは、頼んでおいたし。」


「うん。」


少し寂しそうに眉を下げたから、柔らかく頭を撫でた。



「それで、なんかさ、握手会も計画したらしくてさ…。」


「へぇー、珍しいね! なんか、アイドル、って感じだね! 私も並んじゃおっかな、ふふっ。

でも、潤が一番ファン多そうだから時間かかっちゃうねっ」


「いや、意外に君塚あたりなんじゃね? 最近、色気づいてるしな」


「あ、そうかもねー ふふふっ」


やっぱ、この笑顔には癒されるなぁ…。


こんなあったかいひと時を奪おうとする魔の手が着々と
忍び寄っていることを、オレは全く気付かなかった。