ツアー出発。----10時間前。


ヴォイスレッスンを終え、事務所に戻ってきたところだった。


「なんだって?! それ本当かっ?!」


サブマネージャーの大野さんが、受話器を持ち、
椅子から立ち上がった。


なんだ?


オレの後ろにいた、三ツ井さんも大野さんの様子に驚き、オレと顔を合わせた。



受話器を置いた大野さんが、頭をかかえうな垂れて椅子に座った。



「おい、大野、いったいどうしたんだ?」


オレと三ツ井さんは、大野さんの傍に行った。


「はぁー… 大変なことになりました」


深いため息をついて、顔をあげ、オレと三ツ井さんの顔をみた。


「今回の主要スポンサーの不祥事だ。詳しいことはわからんが、どうやら横領容疑で
山本専務が逮捕された。」


「「え?!」」


山本専務って…社長の先輩…だったはず…。



「まいったな……。」



三ツ井さんが、腕組し、ため息をついた。



「ツアー… ヤバいな…」



ぼそりと、三ツ井さんが、呟いた。



え……?。