「伶…」

君塚が、出てきた香坂マネージャーの元に行き
心配そうに顔を覗き込んだ


自分の名前を呼ばれ、
君塚を見つめる香坂マネージャー


その表情は、気持ちの整理がついたのか、穏やかになっていた


ふっ…

マナカマジックか…?


視線をマナカに移せば
頬が緩み、オレに向かってピースサインを見せた


そっか…


さすが、オレのマナカだよ、今すぐに抱きしめたかった


「おーい、お前ら何やってんだぁ?」


声のする方向に視線を向ければ、社長が10人くらいの男女を後ろに従えて
玄関から入ってきた

ハンガーラックに何十着も掛けられている洋服を、数人の男女が
運んでいく

その後ろには、メイクボックスをキャリーバックに乗せた
メイクさんらしき人物


全身黒ずくめで、ニット帽をかぶった怪しそうな人物


続々と入ってきて、エントランスは異様な雰囲気になった


「社長! 一体なんすかっ?」


「あー? ファッション誌の取材陣だよ
お前ら、ファッション誌の取材、経験ないから驚いただろうけど
これが、フツーだぞー」


「へぇー…そうなんすか…」


「準備が整ったら、始めるからなー」


「「うっすー」」


どこから返事したのか、見渡すと
ファッション誌のスタッフに交じって、勝哉と柿谷がエントランスにいた