足跡が其処に

僕が見ている幻想だと知っていながら

今はもう居ないはずの君が

笑っている姿に

思わず手を伸ばした

空中をきったその手は

行き場をなくし

現実に戻った僕は

ぶつけようのない悔しさと悲しみに襲われた

目頭が熱くなって涙で滲む景色を消そうと

直ぐに目を閉じた

真っ暗な世界には君が居て

その世界を見る僕は何も出来なくて

もう一度でいいから君に触れたいと

噛んだ唇かた血が流れるほど

強く強く願った