やよいさんと共に訪れた人は
少し、派手な化粧が印象的な
50代くらいの
きつい顔をした人であり、


その印象の通り


「相変わらず
嫌な目で見るわね」


黒崎伸治と、楓さんを見るなり
それが
久しぶりに再会する2人に対する
最初の言葉だった。


「上がってもいいかしら?」


楓さんにそう聞くと


「勝手に上がれば?」


立ったまま廊下の壁にもたれかかり
目も合わさず
自分の髪をかきあげながら
嫌そうな声で、そう答えた。


黒崎伸治は
継母とも、やよいさんとも
言葉を交わす事どころか
目も合わさないまま
室内へ戻り
布団に寄りかかるように
座ると、
睨むように
継母を、じっと見ている。


楓さんは
少し離れた所に座り
床をただ見つめ
面倒臭そうな表情を浮かべては
ため息をついている。


そして、私は

どうすればいいのか分からず

お茶を差し出し

楓さんの隣に座った・・・。