「ここに、さっき
男性が・・」



「・・・?」



しどろもどろで事務員さんの前で話してる途中で

事務所奥の扉が開いたと思ったら


「何してんだ?」


背中に赤い刺繍で英語の会社名が書かれた
少し大きめの黒いつなぎを来て
帽子を深く被ってでてきた
黒崎伸治の姿。



唖然として見ている私に



「南さん
輸送車の鍵は?」


「ここにありますよ。
車取りに行かれるんですか?」


「あぁ、ほら
希、行くぞ」


「あ、はい」



いけない、いけない。

目を離さずに付いて行かないと

すぐ置いて行かれちゃうんだった。


会社の裏の方に回ると

大きな車体の低いトラックと

数台の車が停まっている駐車場になっている。


これが・・車を運ぶトラックというものなのか・・・


そっか、車を乗せやすいように
こんなに車体が低くなってるんだ・・・


というか・・・・


もしかして、黒崎伸治の働いてる会社って

ここなんだろうか・・・